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電力自由化の素朴な疑問点まとめ。

改正電気事業法成立により、発送電分離電力小売全面自由化が実現されます。

これにより電力小売が自由化され誰もが電気を売り買いすることが可能となります。現時点でも携帯電話会社や都市ガス会社、はたまたコンビニチェーンなども電力事業に参入するなどの動きが活発になっています。

かつては一般的な家庭などの消費者は地域の電力会社からしか電気を買う事ができませんでした。地域の電力会社とは、H海道電力とか、T京電力とか、O縄電力などの大手電力会社のことです。実はすでに工場や商業施設、大型マンションやビルなどの大口需要者は地域の電力会社以外から電気を買う事ができたのですが、今回の電気事業法改正による電力自由化により一般的家庭や小売業店舗などでも地域の電力会社以外の会社から電気を買う事が出来るようになります。この新規参入する電力会社のことを 新電力(PPS)と呼びます。

電気料金の低価格化をはじめ、新電力の中には地球に優しい太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーによる発電をアピールしたり、携帯電話プランやポイント還元を売りにするサービス等、様々な特徴を持った会社が名乗りをあげています。

そんな話をする中であがった疑問や不明点を解説したいと思います。

電力会社により頻繁に停電になったり 安定しないなどの心配はないの?

電気というのは水道と同じく重要なインフラなので安定する事は絶対です。したがって電力会社によって不安定になったり停電になることはないと言ってよいでしょう。

もちろん電力会社によって電気の品質が低下するなどのバラツキもありません。そもそも電力自由化というのは電力小売自由化であり、新たに電力事業に参入する会社が勝手に発電して、送電をして、需要家ごと個別に電線を引いて電気を送るわけではありません。発送電分離というのは発電する事業と送電する事業を分離する事なので、送電や配電は引き続き既存の電力会社の設備と送電網を利用する事になるのです。

かつてはこれらはすべて地域の電力会社が担っていました。

要するに、各電力会社で発電した電気は全て一つにまとめられ、既存の送電線や変電所や配電線を通ります。各需要家には各電力会社で発電したブレンドされた電気が送られてきます。

したがって万が一あなたが選んだ新電力の発電所で何らかの事故や障害で発電できなくなっても、他の電力会社の電気が絶えなく送られてくるので停電は起こりません。

マンションや建物で一括受電している場合は個別に新電力と契約できるの?

最近新たに建設されたマンションの中には、マンション一括受電というシステムを導入しているケースがあります。通常は、マンションの世帯ごと個別に電力会社と“低圧電力”で契約し電気料金を支払う形式ですが、一括受電はマンション等を1つの契約口として“高圧電力”で契約することで電力使用料を削減するものです。仕組みは高電圧の電線をマンションに引き込み、マンションの施設内で各世帯に配電するために低電圧に変換(変圧)します。低圧契約よりも高圧契約の方が電力使用量に対する料金が安いためです。

この場合各世帯の電気料金は電力会社ではなくマンション高圧契約に組み込まれるのこととなり個別では契約しません。電力使用料はマンション管理会社と低圧電力契約して支払うことになります。

では、既にマンションで一括受電している世帯は電力自由化後個別に新電力と契約することは出来るのでしょうか?

答えは現時点ではできません。

一括受電の場合、マンション側が高圧契約することで実現します。高圧契約する際に必要な設備や配電線などはマンションが契約している電力会社が運営管理することになります。この設備は他社の電力会社が使用することはできません。

新電力の携帯電話会社の割引プランなどに期待して契約を検討している方は注意が必要です。

既存の電力会社はどうなるの?

既存の電力会社は従来通りに運用され ます。それに伴い引き続き配送電線や原子力発電所の維持や管理も継続されます。もちろん新電力ではなく引き続き既存の電力会社と契約する事も出来ます。

今回の電力全面自由化に率先したのが 東京電力 です。東京電力は 東京電力ホールディングス と持株会社となり、分野にあわせ事業を分社化しました。これにより 発電、送配電、小売をそれぞれの会社が担当することになります。

今までは地域電力会社で発送電を全て担っていため、いわば殿様商売でした。しかし電力自由化によりライバル企業が生まれることにより、従来のサービスや方針では顧客離脱も十分考えられます。裏を返せば、サービスやカスタマーサティスファクション(顧客満足度)をさらに向上させるべく、サービスや料金プランなども消費者のニーズにあわせ、より良い物になる可能性もあるわけです。

工事をする必要はないの?

地域の電力会社から新電力に切り替える際、大規模な工事や改修の必要はありません。送電線、配電線、ブレーカーなどは既存のものを利用するためです。

ただ、電気使用量の目安となる電気メーター(検針器)は新電力のものに切り替える必要があります。新電力では従来の検針器ではなく新しいタイプの電気メーターである スマートメーター が採用されます。

スマートメーターはデジタルの電気メーターで通信機能を装備しており、パソコンやスマートフォンから電気使用状況等を確認できる機能をもっています。つまり“電気の見える化”を実現する新時代の電気メーターです。これにより節電の目安や、電気使用に関する意識を向上させる事にも繋がります。また、各消費者の電気メーターを確認して電気料金の通知を行う検針員も不要になり、人件費やコスト削減も期待されています。

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