風と緑と散歩道

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鉄塔 江東線 旧江戸川事故に思ったこと。

今日は天気もよくないので、すこし鉄塔というか送電線を追いかけてみます。こちらは以前にも何度か来ている荒川沿いの江東変電所です。新京葉変電所と結ばれる275kvのすごいやつ。

江東線は東京23区に架空送電線として275kvを送る珍しい路線です。ただ過去の記事にもあるように、都心部へは地中線で送電しているうえ、地中ケーブルで新京葉変電所から新豊洲変電所まで500kvを送電しているの路線もあるので、江東線が最強で唯一の路線というわけではありません。

江東線は住宅街やビルの間を縫うように275kvを送電するのですが、電圧の高さのわりに鉄塔の伸長は高くないです。建築の関係上江東線の下は公園や遊歩道になっています。

もちろん公園が近いゆえに注意案内もほかの275kv送電線と比較になりません。送電線や配電線の近くで凧揚げ、ラジコン、釣りといった架線に接触してしまうようなお遊びはダメ、ゼッタイ。昔東京電力のマスコットだったでんこちゃんが電線の近くで遊んじゃダメよーダメダメと言っていたテレビコマーシャルを思い出します。275kvで感電といったら即昇天。もちろんドローンも禁止!

実はこの江東線は過去に架線が切れてわりと大規模な事故を引き起こしています。首都中心部での大停電にも繋がった事故なので記憶にある方も多いのでは?

時は2006年のある夏の朝。

江東線 No.79とNo.78鉄塔の間を流れる旧江戸川の河川で鉄塔の架線が切れてしました。その瞬間広範囲で停電が発生。架線が切れた原因はわかりやすい物で、河川を進むクレーン船がアームをあげたまま送電線の下を通過し、アームで送電線の架線をぶち切るという物理的な接触事故でした。

こちらは旧江戸川の向こう岸の千葉県浦安市に建つ江東線 No.78。

この送電線が切れたことで東京23区 多摩の一部、千葉県 浦安市 市川市、神奈川県 川崎市 横浜市の一部、鉄道、ゆりかもめなど広範囲で停電が発生。家庭や事業所、工場、交通網に支障が出ました。275kvの送電線は1カ所の需要地だけで無く、そこからあらゆる方面に電気を分配する根幹の線であるが故、影響は多方面に及びます。

※ちなみに、写真の通りここから見ると目と鼻の先で近そうに感じますが、まともにあの鉄塔まで行くとなると大きく迂回して橋を渡って行かないとならず、激しく遠いです。

停電発生後、変電所の系統変更で電気自体は数分~数時間程度で停電は復帰しましたが、架線が切れた江東線の復旧には1日を要しました。

…たしか当時は自分まだ学生で夏休み。世間もお盆で土日だったため平日ほどの大混乱にはならなかったと記憶しています。当時私もたぶんダラダラしてて眠っていましたし、起きてテレビを見るまで気がつきませんでした。

それでも商店や交通、工場や商業施設などは数時間営業や運用停止したこと、信号機が停まって交通に混乱が生じたこと、エレベーターに人が数時間閉じ込められたなどの影響があったのは紛れもない事実であり、これが普通の平日の日中に発生したとなれば混乱と経済的損失ははかり知れません。

事故による死者や負傷者が出ていないことは不幸中の幸いでしょう。

とはいえ、鉄塔1路線が断線しただけでこれだけの甚大な影響に繋がった事は、結果として都市部の路線系統が非常に脆弱であったことも浮き彫りにする事態となりました。それは万が一同等の事故や自然災害…あるいはテロや攻撃などの有事の際に最重要視すべき事項です。

事故を教訓に地中送電網の強化やバックアップ、系統対策等は当時よりも対策されている…はずですので、同等の事故が起きてもあれほどの影響にはならないと願いたいものです。

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